幸福とは、追い求めるものではなく、見つけることです。 では何が私たちを幸せにするのでしょうか?
ダライ・ラマ14世は、「人生の目的とは、幸せになることだ」と断言しています。これは一見シンプルな言葉に思えますが、とても深い意味を擁しています。私たちは皆、1日の終わりに幸せを感じたいと願っています。全員ではないかもしれませんが、沢山の人々が積極的に幸せを探しているのです。
幸福とは、追い求めるものではなく、見つけることです。
仕事に幸福を求める人も多いでしょう。あるいは、ショッピングをしたり、新居や新車を購入することに幸せを感じる人もいるでしょう。しかし、どれもそれだけが真の幸せをもたらすものというわけでは決してありません。所有欲を満たすことだけを目的とするのは、どこにも存在しない幸せを追い求めているようなもので、結果的に皮肉にも不幸をもたらす実りのないことなのです。
では何が私たちを幸せにするのでしょうか? 簡単な答えはありません。人によって違うからです。しかし最近の研究では、「長期間にわたって幸せを享受する」ための基本となるきっかけ―「人間関係」に注目が集まっています。
ハーバード大学は、過去78年間に724人の人生を記録し研究しました。これは大人の私生活を追った史上最長の調査の一つとなっています。この研究では、2年おきに対象者の心と身体の健康と、彼らの仕事について追跡しました。また、定期的に対面式のインタビューや、検診、血液検査と脳のCTスキャン撮影も行いました。
これがその調査結果です:
社会関係は健康にとてもよく、孤独は人を殺す
現代社会では、壮大なスケールで孤独が広まっています。これはSNSが日常生活の中で大きな役割を担い続けている事実が大きく影響しています。SNSは使い方によって、人をさらに孤立させ孤独にします。別の研究では、本来他人と繋がることを目的としているフェイスブックやインスタグラムなどのSNSツールは、皮肉にも真逆の結果をもたらすことがわかりました。SNSの少しの使用は問題ありませんが、1日に何時間も費やすのは、ただ孤独を増長させるだけです。
周囲とのつながり
家族や友人などと良い関係を築き、社会とも良い繋がりを深められる人は幸福を感じ、精神的にも身体的にも健康です。社会との繋がりが乏しい人よりも長生きします。一方、他者との強い心の繋がりが得られない人は、中年期に健康が悪化し、脳が早く衰える傾向があります。
重要なのは友人の数ではなく、人間関係の質
人と対立して生きることは、まったく他人との繋がりを持たずに生きることよりも悪い場合があります。愛情もなく、毎日喧嘩ばかりしているような夫婦生活は、離婚をするよりも心身に悪影響を与え、健康に甚大な結果をもたらします。善良な温かい人間関係の中で生活することが、身を守ることに繋がるのです。研究で、健康な男性50歳の幸福度を調べたところ、コレステロールの値などではなく、どれほど満足した人間関係を築いているかという点が、健康の重要な決定要因となっていることが判明しました。
思考の糧
良好な人間関係を築くことは、健康や精神的に良いだけでなく、脳にもいい影響を与えます。必要なときに頼れる人が近くにいる人は、鮮明な記憶が長く続く傾向があります。また人間関係が少なく、頼れる人が近くにいない人は、その逆で、早期記憶障害が現れる傾向がみられます。
住んでいる地域社会や周囲の人々とより多く繋がり、末永く友好な関係を築くという行動が、脳の健康から長寿に至るまで、身体によい影響をもたらします。そしてその努力から得られる最大のメリットが、最終的なゴールであり且つ恩恵である究極の幸せなのです。